「なんでも感じ方しだい」というような言葉は、困っている人を励ますよい言葉のように
見せかけておいて、その実、困っている人を困った状況に放置する態度を
助長する言葉です。著者-山口裕之(2022). 「みんな違ってみんないい」のか? 筑摩書房
どうも! 手取り20万サラリーマンのさとまると申します。
今回、ご紹介する本はこちら!
「 みんな違ってみんないい」のか? ー相対主義と普遍主義の問題
山口裕之 著
突然ですが、多様性についてどう考えていますか?
一般的に、少数派の意見も否定しない多様性は当たり前であり、
「正しさは人それぞれ」は正しい考え方であるように感じますよね。
しかし、本書はそんな世の中に対し、多様性と一言で済ませてしまうことの
危険性を提示しています。
・正しさとは、一体何なのか。
・多種多様な人々がいるのに、どのように正しさを決めればいいのか。
本記事では、私が共感した部分のご紹介になります。
※全文読まなくても、太字のところだけでもわかるようになってます。
ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
Q.「正しさは人それぞれ」じゃないの?
A.両立できる価値観や意見はそれで問題ないが、
世の中には、一つに決めなければいけないことがあるから。
個人の価値観が他人に影響せず、両立できる価値観については人それぞれで問題ありません。
例えば、好きなスポーツについてサッカー or 野球(ほかにも様々なスポーツはありますが)
という価値観は両立できます。
これに対し、意見を一つに決めなければいけない場合、人それぞれではダメです。
例えば、企業の経営方針や部署の目標などです。
近年、企業においてもダイバーシティとして多様性は浸透しつつありますが、
働き方や趣味嗜好の話であって、企業として進むべき方向は一つに決めなければいけません。
そんなときに、新商品を開発したい社長、新規顧客や生産量を増やしたい部長、
風通しの良い職場にしたい係長、効率よく働いてなるべく残業したくない現場、
とバラバラの考えでは企業としての力が十分に発揮されません。
いつも「正しさは人それぞれ」という価値観を当てはめるのは危険ということです。
Q.そもそも正しさとは一体何なの?
A.他人への行為や他人を巻き込む行為の善悪についての共通了解。
他人の行動に対し、人は何らかの感情を抱きます。
感謝されたら喜び、騙されたら怒りや悲しみ、など体が自然に反応します。
この反応自体は正しいかどうかではなく、”事実”として起こります。
ここでよく勘違いしがちなのは、”事実”と”正しさ”です。
正しさとは、自分の感情という”事実”を他人に伝え理解してもらいながら、
他人の”事実”も受け入れ、お互いに納得のいく合意点を作っていくことです。
Q.具体的に正しさはどのように決めればいいの?
A.絶対正しいなんてものはないから、より正しい正しさを人々が議論しながら作っていく。
この世に絶対なんてものはありません。
だからといって、相手が違う意見だからといって、そこで議論を止めてはいけません。
正しさについても同様で、見る人の立場・思考力・経験・精神状態によって異なります。
相手の意見を聞くときは、次のことを考えながら聞いてみて下さい。
背景がわかれば理解しやすくなりますし、後から新しいことを知って
考えを改めるのは決して恥ずかしいことではありません。
自分の考えを改めるのは「恥」や「負け」だと思われるかもしれませんが、
そんな人は相手を理解できません。
ただし、自分自身の意見を曲げてまで相手に合わせる必要もありません。
相手の意見を理解したうえで反論するのはもちろん必要なことです。
そして、より正しい正しさを導き続けなければいけないのです。
思考停止の言い訳はもうやめよう
私自身本書を読むまで、考え方は人それぞれだから気にしなくていいと思っていました。
しかし今思えば、「人それぞれ」を言い訳に他人を理解することから避けていたように思います。
多様性がここまで流行っているのは、その方がラクだからだと思います。
相手の意見を聞いて理解するには、時間も体力も必要になるからです。
だからといって、当事者がいないところで勝手に決めたルールを強制するのは不正です。
思考停止になると社会は分断され、暴力が支配する世界になるかもしれません。
もちろん、両立可能な場合は大いに多様性を認めるべきですが、
一つに決めなければいけない場合は、とことん議論しなければなりません。
だって、権力や暴力でルールが決められる社会ほど怖いものはないのですから…………
いかがでしたでしょうか?
まだまだ紹介しきれなかった内容が山積みです。
もっと知りたい!と思ったら、実際に本書を読んでいただくことをオススメします。
今回ご紹介した内容は、私が独断と偏見で選んだ一部にすぎません。
本書は以下の構成で書かれています。
第2章 「人それぞれ」というほど人は違っていない
第3章 「道徳的な正しさ」を人それぞれで勝手に決めてはならない
第4章 「正しい真実」を人それぞれで勝手に決めてはならない
私が今回取り上げたのは3章のみです。
各章末にまとめがされているので、そこだけ読んでも得られるものは大いにあります。
これを機に思考停止から抜け出し、議論することで真の多様性を目指すキッカケに
なれたら嬉しく思います。
作者の方はYouTubeでもお話しされていました(動画きっかけで本書を知りました)。
よろしければご覧ください。
本を読む時間が無い!、という方には「耳で聞く読書」がオススメです。
詳しくは下のリンクからどうぞ。(急な広告、失礼します。。。)
ではまた。
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