対象→記号の対応づけを学習したら、記号→対象の対応づけも同時に学習する。人間が言語を学ぶときに当然だと思われるこの想定は、論理的には正しくない過剰一般化なのである。
著者-今井むつみ・秋田喜美 (2023). 言語の本質 中央公論新社
どうも! 手取り27万サラリーマンのさとまると申します。
今回、ご紹介する本はこちら!
言語の本質
今井むつみ・秋田喜美 著
本記事は、こんなアナタにぜひ読んでいただきたいです。
本記事に入る前に、一言。
本書の内容は筆者らの仮定であり、全体的な真実ではありません。
言語とは何かを考える上で、その一助にしていただければと思います。
※全文読まなくても、太字のところだけでもわかるようになってます。
ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
結論!! 言語とは何なのか?
A. 言語とはコミュニケーションツールであると同時に、ヒトがもつ芸術や科学、価値観や倫理といった文明を創造する基礎をつくるための考え方を与えるために大きな役割を果たすものである。
私たちは何のために言葉を発していますか?

コミュニケーションをとるためなんじゃない?
その通り! 、、、で終わったら何の面白みもありません(笑)
確かにコミュニケーションのために言葉は必要ですが、
それは表面的な言語の存在意義でしかありません。
言語とは、ヒトと動物を分かつ能力を呼び覚ますために必要なツールなのです。
要するに、言語のおかげで科学や芸術といった文明が発展し、
ヒトという種が繁栄できたといっても過言ではないのです。
では、なぜそう言えるのでしょうか?
ヒントは、我々が言語を習得する過程に隠されています。
私たちは物心つく頃には、ある程度の言葉を話すことができるようになっています。
ではどのように言葉が話せるようになったのでしょうか?
次に、その過程を示していきます。
ヒトがどのように話せるようになったかを考える前に、
そもそも、なぜ言葉が生まれたのか考えていきましょう。
Q. 言語はどのように発生し、進化したのか?
A. 始めはオノマトペによってあらゆる事象を表現していた。
しかし、オノマトペのみでは情報処理能力に限界があるため、より効率よくより多くの事象を表現するために言葉へと進化した、と考えられる。
言葉の起源として、著者らは「オノマトペ言語起源説」が有力なのではないかと考えています。
オノマトペとは、キラキラ、ドキドキ、コロコロ、など感覚イメージを言葉にしたものです。
例えば、「歩く」に付けるオノマトペによってイメージは変わってきます。
「ずかずか歩く」 …大股で豪快なイメージ
しかし、イメージとは抽象的で細かい事象を正確に伝えようとすると、
似た事象と勘違いしてしまう伝達ミスや、文章が長くなりコミュニケーションコストが高くなる
といった弊害が出てきます。
ここにオノマトペの限界があります。
そこで言語が発達していきます。
言語は、オノマトペのように感覚イメージを表すものではなく、
事象を最小単位に分割し、それらに特有の音を当てて名前を付けることで成立していきます。
イメージ中心で伝えていたオノマトペから、より正確に迅速に伝えるという必要性から言語に進化したというのが「オノマトペ言語起源説」です。
それではいよいよ、ヒトがどのように言語を取得していくのか考えていきましょう。
Q. 子供はどのように言葉を覚えるのか?
A. 大人が発する音(言葉)と対照に何らかのつながりがあることに気づく→ 何回か経験すると、それが身の回りのモノや行為すべてに名前があることに気づく→ 音と対象のマッチングを楽しみながら、それを覚えていく
さて、「言語とは何なのか?」を解き明かすヒントに迫っていきましょう。
オノマトペの面白い所は、
まだ言葉をあまり知らない子どもや赤ちゃんでも容易に理解できるということです。
本書内に書かれている実験によると、赤ちゃんでも音とモノのつながりを理解できているようです。
赤ちゃんは音とモノが合っていないと違和感を感じるようなのです。
一方、オノマトペではない言語(犬や車)は赤ちゃんには理解できません。
言語はオノマトペと異なり、音とモノの間に感覚イメージが入りこむ余地が激減します。
つまり、
言語を習得するための「何らかの能力」がなければ言葉を喋れるようにはならないのです。
そして、
ヒトは生まれながら言語を習得する「何らかの能力」があるそうです。
その「何らかの能力」とは、アブダクション推論です。
アブダクション推論とは、仮説を形成する推論のこと。だからいつも正しいとは限らない。
例えば、
・人間は美味しいものが好きである。(規則)
・ラーメンは美味しい。(結果)
・つまり、人間はラーメンが好きである。(結果の由来を導出)
言語習得する前の子どもに当てはめると、、、
・動きとともに音が発話されている。(規則)
・その音とモノはいつも一致している(結果)
・すべてのモノには名前がある。(結果の由来を導出)
要するに、生まれつき理解できるオノマトペから始まり、
たくさんの音を聞く中でモノと音(言葉)にはどうやら何かしらのつながりがある
ということに気づいていくのです。
この気づきの有無は、ヒトが他の動物で大きく違います。
ごく一部のチンパンジーを除き、他の動物はアブダクション推論をしないことが
多くの実験でわかっています。
このことからも、ヒトと最も近いと言われているチンパンジーにあることから、
生まれながらの能力である可能性が高そうです。
アブダクション推論こそヒトが現代のような進化を遂げるために必要なスキルだったのです。
ヒトは居住地を広げ、未知の脅威に新しい知識で立ち向かう必要がありました。
そこで「間違うかもしれないけど、そこそこ上手くいく」という思考こそ、
新しい発見や洞察を与え、生存確率が飛躍的に向上させ、進化を促したのです。
要するに、人が本来持つアブダクション推論を引き出すためのツールが言語なのです。
感想
私は、当たり前に思っていることに対し、「なんでそうなっているんだろう?」
と疑問を持つ性格です。
本書と出会ったのも、「確かに言語って何だろう?」というシンプルな疑問からでした。
でも、このような本質的な問題は得てして難解です。
だからこそ楽しく、新たな発見がたくさんあります。
個人的に、本書の知識は他言語を習得する際に役立つと思いました。
新しい言語を聞く中で、法則のようなものに何となく気づき、
それを確かめるため、習得するため、自ら話して相手のリアクションを見たり、
もっと聞いて違う法則を見つけたり。
このサイクルこそ、私たちが日本語を習得した過程かもしれないから。
これをきっかけに、言語とは何なのか?、子供が話せるようになるのはなぜなのか?
そんな興味を持ってもらえたら嬉しい限りです。
新しい発見があるかもしれないですからね!!
いかがでしたでしょうか?
まだまだ紹介しきれなかった内容が山積みです。
今回ご紹介した内容は、私が独断と偏見で選んだ一部にすぎません。
もっと知りたい!と思ったら、実際に本書を読んでいただくことをオススメします。
本書は以下の構成で書かれています。
第2章 アイコン性 ー形式と意味の類似性
第3章 オノマトペは言語か
第4章 子供の言語取得1 ーオノマトペ偏
第5章 言語の進化
第6章 子供の言語取得2 ーアブダクション推論偏
第7章 ヒトと動物を分かつもの ー推論と思考バイアス
終 章 言語の本質
本を読む時間が無い!、という方には「耳で聞く読書」がオススメです。
詳しくは下のリンクからどうぞ。(急な広告、失礼します。。。)
ではまた。
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